Akiraです。本当に久々の投稿なります(ほぼ2年ぶり!ここ数年で子育てや仕事が忙しくなりなかなか記事を書く時間を取れずにいた、という言い訳だけは聞いてやってください。笑 はい、言い訳せずに続けます。笑)

今回は、サッカーにおけるハムストリングス肉離れの発生と、トレーニングロード、特に総走行距離 (Total Disntace)、高強度距離 (High-Intensity Distane)とスプリント距離 (Sprint Distance)との関連性を調査した追跡研究について紹介します。
ハムストリングス肉離れ発生とスプリント距離

今回の紹介する研究では、イングランドプレミアリーグのエリートサッカー選手を対象に、ハムストリングスの肉離れをした選手としなかった選手に分類して、怪我発生前の4週間にわたって (Weeks Preceeding Injury)、その各週でTotal Distance, High-intensity Distance, Sprint Distanceそれぞれの項目に違いがあったかが調査されました。
各項目に関する速度の定義は以下の通り。

一般的には各トレーニング日や各トレーニング週ごとに、それぞれの速度閾値において走行距離がどのように推移しているかをモニタリングするのは一般的です。
当研究ではそれに加えて、Relative Measures (Per Min); 1分間あたりの走行距離についても上記の三項目において、ハムストリングス肉離れの受傷と関係性があったかどうかが調査されました。
結果、ハムストリング肉離れを受傷した選手は、負傷していない選手と比較して、負傷前の週 (Week-1)に1分あたりのスプリント距離が有意に多かった、と報告されました。
ちなみに、現場でモニタリングされる絶対的なスプリント距離の一週間での累積(例:4日間の練習で200m、試合で150m、トータルで350m走った)を見た場合は、どの週も優位な差はなかったということです。
絶対値と相対値を並行してモニタリングする重要性

個人的にも、 絶対値 (Absolute)と相対値 (Relative)や量 (Volume) vs 強度 (Intensity)はそれぞれバランスよく見ていくことが大切だということは活動を通して実感してきました。
一方で、ハムストリングス肉離れと受傷前の一週間における1分あたりのスプリント距離、という相対的/強度的な指標に着目してハムストリングス肉離れについて考えたことはありませんでした。
そういった点において、今回の研究結果は非常に興味深いなと思い、皆さんに紹介させていただきました。
絶対的なスプリント距離の累積も変わらずモニタリングしていくことは大切だと思いますが、合わせてそれが「どのくらいの頻度/密度で蓄積されているか」というのも重要ということが言えそうです。
当然ながら、ケガというのは外的負荷 (External Load)だけで結論づけることはできませんが、1分間あたりの相対的な項目; Relative Metricsを見ていくことも重要だよ、ということを改めて教えてくれる研究だったかなと思います。
相対的な項目と言えば、特にハムストリング肉離れの予防についてはコンスタントに最大速度 (Max Speed)に近いスピードを選手に走らせるということは重要です(Buchheit et al., 2021)。
また近年の研究では、水平面における力発揮 (Horizontal Force Production)とハムストリングス肉離れの関連性を示唆する研究もあります (Lahti et al., 2022)。
こういった研究から、個人的にはMax Acceleration (m/s2)をモニタリングしていくことも重要視しています。
GPSから算出される外的負荷のモニタリングは最近では当たり前になりましたし、その一環として、当研究で示された結果を元に、1分間あたりのスプリント距離を各週でモニタリングしその推移を追っていくのは面白いのではないかと思いました。
まとめ
- ハムストリングス肉離れの予防においては、各トレーニング週において、絶対的なスプリント距離の累積だけでなく、1分間あたりのスプリント距離といった相対的な項目のモニタリングも重要である。
- GPSから算出される外的負荷モニタリングの一環として、1分間あたりのスプリント距離を各週でモニタリングして、その推移を追うことは有用かもしれない
- Max SpeedやMax Accelerationなど、GPS的な項目だけでもそのほかにモニタリングすべき項目は多数あることに注意
久々にブログを書きましたが、今回は知り合いの方に紹介いただいたNotebook LMというAI機能を用いで論文を要約した上で記事の作成に取り組んでみました。
もちろん自分自身であらかじめ論文を読んでいるわけですが、要約してくれたり、マインドマップにしてくれたり、要点を整理する作業がすごく楽になると感じました。
逆にどんどん活用していけないとおいていかれるなという危機感も感じています(AIすごすぎ。。。なんでもやってくれる。。。)
もはや英語の論文ですら、英語が読めなくても、下手したら論文の読み方を知らずともある程度の情報をAIを通して手に入れられる時代になったなと。
一方で、一人一人がその文章を通して得られる解釈はAIが取って代わることができないし、一人一人の経験に基づいた情報の解釈、運用についてはAIが当分届かないところだろうなということも感じました。
ただ論文を翻訳して紹介するだけなら、私がわざわざこんなブログ記事を書く必要もないなと思いますが、私にしか書けない、伝えられないことがある、と信じて情報発信を続けていこうと思います(大変だけど。笑)
最後まで読んでいただきありがとうございました。
続く。
Akira
Reference
Morgans, R., Oliveira, R., Ceylan, H. I., Teixeira, J., Ryan, B., Modric, T., Moreira, A. (2025). High-intensity running and sprint distance prior to hamstring injury in elite male soccer players: Is there a common theme in over- or under- loading in the weeks preceding hamstring injury? Journal of Physical Education and Sport, 25(5), 946–953.
Buchheit, M., Simpson, B. M., Hader, K., & Lacome, M. (2021). Occurrences of near-to-maximal speed-running bouts in elite soccer: Insights for training prescription and injury mitigation. Science & Medicine in Football, 5(2), 105–110. https://doi.org/10.1080/24733938.2020.1802058
Lahti, J., Mendiguchia, J., Edouard, P., & Morin, J.-B. (2022). A novel multifactorial hamstring screening protocol: Association with hamstring muscle injuries in professional football (soccer) – a prospective cohort study. Biology of Sport, 39(4), 1021–1031. https://doi.org/10.5114/biolsport.2022.112084